毎年12月に閣議決定される「税制改正大綱」。令和7年(2025年)12月に決定された令和8年度税制改正大綱でも、不動産の売買・相続・贈与に関連するいくつかの重要な変更が盛り込まれました。
千歳市・恵庭市など道央エリアで不動産を検討されている方に向けて、実務に関わるポイントをわかりやすく整理します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税額計算・適用判断は必ず税理士にご相談ください。
税制改正大綱とは
税制改正大綱とは、与党(自由民主党・公明党)が毎年12月に取りまとめる翌年度の税制改正の方針書です。大綱の内容をもとに翌年の通常国会で税制改正法案が審議・成立し、翌年4月以降に施行されます。
つまり「令和8年度税制改正大綱」は令和7年12月に閣議決定され、令和8年(2026年)以降に適用される改正内容を示しています。
1. 令和8年度の目玉改正:賃貸不動産の相続税評価の見直し
今回の大綱で不動産オーナーにとって最も影響が大きいのが、賃貸不動産(アパート・マンション等)を活用した相続税対策への規制強化です。
これまで、不動産を購入して賃貸に出すと、相続税の評価額が購入価額よりも大幅に下がる「節税効果」が広く使われてきました。この仕組みを利用した過度な節税への対応として、以下のような見直しが行われます。
- 相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産については、通常の路線価・固定資産税評価額ではなく、取得価額(購入価格)をもとに評価する方式が導入される方向です
- 適用対象は令和9年(2027年)1月1日以降に取得した貸付用不動産
- 相続税の節税のみを目的とした直前の不動産購入への牽制措置として機能します
この改正は、収益不動産を保有または取得を検討されている方に直接関わります。詳細な適用要件は税理士にご確認ください。
2. 相続税・贈与税の一体化(加算期間の延長・経過措置)
令和5年度(2023年度)の改正で、生前贈与の相続財産への加算期間が3年から7年へと段階的に延長されました。この改正は令和6年1月から施行されており、令和8年度時点でも経過措置の途中にあります。
正確なスケジュールは以下のとおりです。
| 相続開始時期 | 加算される贈与の期間 |
|---|---|
| 〜令和8年(2026年)12月31日 | 相続開始前3年間 |
| 令和9年(2027年)〜令和12年(2030年) | 段階的に延長(4〜7年) |
| 令和13年(2031年)1月1日以降 | 相続開始前7年間(完全適用) |
7年加算が完全適用されるのは令和13年(2031年)1月以降に相続が開始した場合です。令和9年(2027年)から段階的な延長が始まりますが、フル適用にはさらに数年かかります。
また、相続時精算課税制度(生前贈与額を相続時に精算する制度)については、令和6年から年110万円の基礎控除が新設され、活用しやすくなっています。長期的な相続対策を組み立てる上では、暦年贈与と相続時精算課税を組み合わせた検討が有効です。
3. 空き家の3,000万円特別控除の動向
相続した実家・空き家を売却する際に適用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除(空き家特例)」は、令和5年度改正で適用期限が令和9年(2027年)12月31日まで延長されています。
また、令和6年(2024年)1月以降の売却からは、相続人の人数によって控除額が変わります。
- 相続人が2人以下:最大3,000万円控除
- 相続人が3人以上:最大2,000万円控除
空き家の売却を検討されている方は、適用期限(令和9年末)を意識しながら早めに動き出すことをお勧めします。売却の準備には相続登記・家屋の解体・市場調査など複数のステップがあり、時間的な余裕を持って進めることが重要です。
4. 住宅ローン控除の継続
令和8年度税制改正において、住宅ローン控除が5年間延長されました(令和9年末以前に入居した場合まで適用)。
令和6年以降、省エネ性能の有無によって借入限度額が異なる仕組みが適用されています。一般的な中古住宅よりも、省エネ基準を満たした新築や認定住宅の方が控除額が大きくなるため、購入を検討されている方は物件選びの段階から省エネ性能を意識することが節税につながります。
5. 固定資産税・都市計画税の動向
固定資産税は3年に一度評価替えが行われます。次回の評価替えは令和9年(2027年)です。令和8年度においては固定資産税の大きな制度変更はありませんが、地価動向によって課税標準額が上昇するエリアも出てきます。
千歳市・恵庭市エリアでは、新千歳空港周辺の開発進展により地価が上昇傾向にあります。令和9年の評価替えで固定資産税が上がる可能性もあるため、物件を保有されている方は注意が必要です。
PayForwardの視点
今回の税制改正で最も注目すべきは、賃貸不動産の相続税評価見直しです。これまで「不動産を購入して賃貸に出せば相続税を大幅に減らせる」という手法が広く使われてきましたが、令和9年以降に取得した物件については、その効果が大きく制限される可能性があります。
すでに収益不動産を保有している方や、これから取得を検討している方は、改正前後の影響を税理士と一緒に確認した上で判断することをお勧めします。
また、空き家の相続・売却については、特例の期限(令和9年末)が近づいています。「実家をどうするか」と迷われている方は、まずは現状の整理から始めてみてください。PayForwardでは、不動産の売却・相続に関するご相談を承っています。税務の具体的な判断は連携する税理士と連携しながら進めることも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
令和8年度税制改正大綱のうち、不動産・相続に関わるポイントを整理しました。
- 賃貸不動産の相続税評価見直し:令和9年1月以降取得分から、取得価額ベースの評価方式導入へ(節税目的の直前購入への規制)
- 贈与加算期間の延長:7年加算の完全適用は令和13年(2031年)から。令和9年から段階的延長
- 相続時精算課税の基礎控除:110万円(令和6年〜)が継続
- 空き家特例:令和9年末まで延長済み。相続人3人以上は控除額2,000万円
- 住宅ローン控除:5年延長(令和9年末入居まで)。省エネ性能による区分継続
- 固定資産税:令和8年度に大きな変更なし。次回評価替えは令和9年
税制は毎年改正されるため、不動産の売却・購入・相続を検討している方は、最新情報を確認した上で意思決定することが大切です。具体的な税額の計算や節税対策については、必ず税理士へのご相談をお勧めします。
千歳・恵庭エリアでの不動産に関するご相談は、PayForwardまでお気軽にどうぞ。


