不動産の売却を考えるとき、多くの方が最初に行うのが「査定の依頼」です。複数の会社に査定を頼むと、同じ物件なのに数百万円単位で価格が違うことがあります。「一番高い査定価格の会社に頼めばいい」と思いたくなる気持ちは自然です。しかし、その判断が後悔につながるケースがあることを、千歳市での実務経験とデータをもとにお伝えしたいと思います。
査定価格はなぜ会社によって違うのか
査定価格は「その物件がおそらくこのくらいで売れるだろう」という予測値です。絶対的な正解がある数字ではなく、どの成約事例を参考にするか、築年数・面積の補正をどうかけるか、エリアの需給をどう読むかによって、会社ごとに差が生まれます。
これ自体は当然のことです。問題になるのは、「高い査定価格を出せば媒介契約(売却の依頼)が取れる」という構造が業界に存在することです。売主にとって嬉しい数字を提示することで選ばれやすくなる——この慣行は千歳市に限らず、全国的に見られる傾向です。
査定価格は「売れる価格の予測」であって、「その会社への期待値」ではありません。依頼先を選ぶとき、この違いを意識しておくことが重要です。
高すぎる価格で売り出した場合に何が起きるか
実際の市場価格より高く売り出すと、何が起きるでしょうか。
まず、内覧の問い合わせが少なくなります。購入を検討している方は多くの物件を比較しています。「似た条件の物件より明らかに高い」と判断された時点で、候補から外れてしまいます。
問い合わせが来ない期間が続くと、「なぜ売れないのか」の判断が難しくなります。価格なのか、物件の状態なのか、タイミングなのか——フィードバックがないまま時間だけが経過します。
やがて値下げを検討することになりますが、ここにも落とし穴があります。売り出しから時間が経った物件は、「長期間売れ残っている」という印象を持たれやすく、買い手の交渉力が増します。値下げをしてもさらに値引きを求められ、最終的に最初から適正価格で売り出していた場合よりも低い価格で成約するケースが少なくありません。
千歳市は近年、価格が大きく上昇している市場です。だからこそ「強気で高く出せば売れる」という期待感が生まれやすい時期でもあります。上昇局面であるほど、根拠に基づいた価格設定の重要性が増します。
適正価格はどうやって算出するか——4つの視点と物件固有の特性
では、適正な査定価格はどのように出すのでしょうか。当社では主に4つの視点を組み合わせています。
① 成約事例(取引事例比較法)
実際に売れた価格のデータです。同じエリア・同程度の築年数・面積の物件が直近でいくらで成約しているかを確認します。「売り出し価格」ではなく「実際に成約した価格」を参照することがポイントです。
② 積算(原価法)
土地の価格に、建物を今建て直した場合のコスト(再調達原価)から経年劣化分を引いた価値を加える方法です。特に土地の比重が高い物件や、建物が新しい場合に有効な視点です。
③ 競合分析
今まさに同じエリアで売り出されている物件と比較します。買い手は必ず複数の物件を比べています。競合より明らかに高ければ選ばれにくく、逆に安すぎれば機会損失になります。現在の市場における「立ち位置」を確認する作業です。
④ 市場トレンド
そのエリアの価格が上昇しているのか、横ばいなのか、下落傾向にあるのかを把握します。千歳市のように価格変動が大きい市場では、成約事例のデータが1〜2年前のものだと現状と乖離することもあります。
そして、これら4つの分析をベースにしながら、最後に欠かせないのがその物件固有の特性を読み解くことです。同じエリア・同じ築年数でも、日当たり・接道・間取り・リフォームの履歴・近隣環境・売主様の事情は一つとして同じではありません。データで大枠をつかみ、現地と対話して初めて「この物件の適正価格」が見えてきます。
千歳市の直近データで見る相場感
参考までに、直近3年(2023年3月〜2026年3月)の千歳市における中古戸建ての成約データをご紹介します。※当社保有の不動産流通機構成約データに基づく集計
- 成約件数:199件
- 成約価格 中央値:約1,770万円
- 成約価格 平均:約2,005万円
注目すべきは価格の推移です。2019年の中央値が約1,100万円だったのに対し、直近3年の中央値は約1,770万円、2026年単年(3月時点)に絞ると約1,900万円水準まで上昇しています(2019年比で約73%増)。背景には、ラピダス(半導体工場)の進出による住宅需要の増加、新築建築費の高騰による中古住宅への需要シフト、そして土地価格の上昇が重なっています。
エリアによっても大きく異なり、富丘・新富・信濃などは直近3年の中央値が2,000万円超、里美・若草などは1,100〜1,300万円が中心です。「千歳市の相場」と一口に言っても、エリアによって大きな差があることを頭に置いておくと良いでしょう。
ペイフォワードの考え方
私たちが査定でもっとも大切にしているのは「根拠を説明できること」です。
上記の4つの分析軸とその物件固有の特性を読み解いた上で、「なぜこの価格なのか」をお客様に丁寧にご説明する——それが私たちの査定の姿勢です。受託のために高い数字を出すことは、長い目で見てお客様の利益になりません。
「納得して売ること」は、売主様の利益を守るだけでなく、その価格でバトンを受け取る購入者にとっても誠実な行為だと考えています。一つひとつの取引が適正であることが、地域の不動産市場の健全さにつながる——そういう信念を持って仕事をしています。
おわりに
査定は「いくらで売れるかを知る」だけでなく、「誰に任せるかを判断する」プロセスでもあります。査定価格の高さだけでなく、「なぜその価格なのか」を丁寧に説明してくれるかどうかが、信頼できる会社を見極める一つの基準になります。
千歳市・恵庭市での不動産売却をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。査定・相談は無料・無義務です。データと現地の目線を組み合わせた、根拠ある査定をご提供します。

